今日は、フォーマルな英語メールの書き方をステップごとに解説します。英語には日本語のような敬語のシステムはありませんが、状況に合わせて丁寧な表現を使ったり、適切なフォーマットを使わないと、誤解を招いたり、幼稚な印象を与えてしまう危険があるので、メールを書く時もそういった点に気をつける必要があります。一般的なビジネスメールやお問い合わせメールには、基本的なフォーマットがあるので、一度それを覚えてしまえば、英語のメールを書くことはそこまで難しいことではありません。
メールを書く前の注意点
I’ll や can’tなどの短縮形はカジュアルな印象を与えるので、出来るだけフォーマルな印象を与えたい場合はI willやI cannotのように書いた方が良いです。ただ、ビジネスメールで求められるフォーマル度は職業や社風にもよって異なります。
1. 宛名の書き方
①基本
Dear Mr / Mrs / Miss / Ms [Surname],
例:Dear Ms Smith,
フォーマルなメールでは、基本的にはDear + title (敬称) + surname(苗字), というフォーマットを使います。
男性に対する「Mr」、結婚している女性に対する「Mrs」、結婚していない女性に対する「Miss」、どちらの女性にも使える「Ms」以外にも、医師や博士号取得者に対する「Dr」、教授に対する「Prof」といったtitle をつける習慣があるので、相手のtitleを間違えないように気をつけましょう。
②ややカジュアル
Dear [First name],
例:Dear Claire,
すでに面識があってファーストネームで呼び合う関係の人であれば、Dear + first name, でも大丈夫です。付き合いが長い同僚とのメールやカジュアルな雰囲気のビジネスメールでは、Hi + first name, もよく使われます。
③名前が分からない
Dear [name of job title],
例:Dear HR Consultant,
相手の名前が分からない時は、Dear Sir / Madam, と書くといいとよく言われていますが、男か女という二者択一の考え方を押し付けるような印象を与えてしまう危険もあるので、相手のjob title(役職名)やdepartment(部署)が分かる場合は、そちらを使う方がおすすめです。例えば、Dear HR Consultant,(人事コンサルタント宛て)、Dear Customer Service Team, (カスタマーサービスのチーム宛て)など。
④関係者の方宛て
To Whom It May Concern,
相手の名前も役職名も部署名も分からない場合や不特定多数の人宛てにメールを送る場合、To Whom It May Concern, が使われることがあります。日本語で「ご担当者様」と訳されていることがありますが、「関係者の方宛て」というようなニュアンスです。
⑤3人以上の人宛て
Dear all,
社内メールなどで3人以上の人へメールを送信する場合は、Dear all, と書くのが一般的です。
2. 挨拶の書き方
①自分からメールを始める場合:
I hope this email finds you well.
お元気であることを願っています。
自分からメールのやり取りを始める場合、英文メールの書き出しには、相手が元気であることを願っているという意味でI hope this email finds you well. を頻繁に使います。あまりオリジナリティはないですが、いきなり本題に入ると少しダイレクトな印象を与えてしまうので、このような挨拶から書き出す人が多いです。
②相手のメールに返信する場合:
Thank you for your email.
メールありがとうございます。
Thank you for your prompt response.
早速のご返信ありがとうございます。
相手のメールに返信する場合、Thank you for your email.(メールありがとうございます。)から始めるのが一般的です。相手がこちらのメールに早く返信してくれた場合は、Thank you for your prompt response.(早速のご返信ありがとうございます。)のような文も使えます。
3. 本題の書き方
自分からメールのやり取りを始める場合は、基本的には【目的】→【詳細】→【相手にどうしてほしいか・自分がどうするか】という流れに沿って文を書けば、読みやすいメールになります。以下のフレーズは、その流れに役立つものです。
【目的】
まず最初にメールの目的を述べることをおすすめします。
①〜するために連絡している
I am writing to…
お知らせメールの例:
I am writing to let you know the details of the meeting next week.
来週の会議の詳細をお伝えするためにご連絡いたしました。
相談メールの例:
I am writing to ask if it is possible to reschedule my appointment.
アポイントメントの日時の変更が可能かどうかお聞きしたく、ご連絡いたしました。
お礼メールの例:
I am writing to thank you for your support at the event last week.
先週のイベントでのサポートについてお礼を申し上げたく、ご連絡いたしました。
謝罪メールの例:
I am writing to apologise for the troubles yesterday.
昨日のトラブルについてお詫びを申し上げたく、ご連絡いたしました。
これらの例のように、I am writing to…に続けて目的を述べると、その後に続くコミュニケーションがスムーズに進みます。相手と事前に話したことについてメールを送る場合、Further to our phone call this morning, … (今朝の電話で話した内容の件ですが、…)やFurther to our conversation earlier, …(先ほどの会話で話した内容の件ですが…)もよく使います。
②〜について連絡している
I am contacting you regarding …
例:I am contacting you regarding the upcoming campaign.
今度のキャンペーンについて、ご連絡いたしました。
I am contacting you regarding…は、〜について連絡しているという意味なので、メールのトピックを一言で表したい時に便利です。
【詳細】
詳細の述べ方はメールの目的によって適切なフレーズを考える必要がありますが、ポイントは時制に気をつけながら、なるべく簡潔にシンプルに書くことです。いくつか例をご紹介します。
①イベントの日時
The [event] will be held on …
例:The meeting will be held on Tuesday 12th May from 14:00.
会議は5月12日(火)14:00から行われます。
日にちの書き方は文化によって異なるのでこの例のように「月」は文字で書い方が確実です。(例えば、日本やアメリカだと07/08は、7月8日ですが、イギリスだと8月7日という意味です。)
②ハプニング
I was supposed to…but…
例:I was supposed to receive my order last week but I still have not received anything.
注文した物が先週届くはずだったのですが、まだ何も届いていません。
I was supposed to…but…は注文などが届かない、来るはずの連絡が来ない、など起こるべきことと現実が違った時に役立つフレーズです。メール(email)・電話(phone call)・支払い(payment)などを受け取るはずだったという時にもreceive という動詞を使えます。
③故障や不具合
… has not been working since / for…
例:Our hot water has not been working since Wednesday.
水曜日から(私達の)家のお湯が出ていません。
例:My internet has not been working properly for almost a week.
一週間近くインターネットがきちんとつながっていません。
… has not been working は、何かが作動していない・機能していないという相談をする時に使います。問題が始まった日時を伝えたい場合はsince [日時]、問題の期間を伝えたい場合は、for [期間]を使います。
④資料の送付
Please find attached …
例:Please find attached a photo of the faulty item.
不良品の添付写真をご確認ください。
例:Please find attached the document.
書類の添付ファイルをご確認ください。
書類や写真を添付したい場合、Please find attached …のようなフレーズを使います。注文した商品が不良品だった、家が雨漏りしている、などトラブルがあった場合、全てを言葉で説明するよりも写真で見せた方が分かりやすいので、英文に自信がない時は写真で補足することをおすすめします。
【相手にどうしてほしいか・自分がどうするか】
相手にどうしてほしいか
外国の人は日本人ほど色々なことを察する習慣がないので、私は外国の人とメールをする時は相手にどうしてほしいかをはっきりと伝えるようにしています。ただ、相手に何かをお願いしたい場合、どんなフレーズを使うかによって与える印象が大きく変わるので、失礼にならない言い方を使うことが大切です。
①丁寧なお願い
I would be grateful if you could…
例:I would be grateful if you could advise me on what to do.
どうするべきかアドバイスをいただけるとありがたいです。
例:I would be grateful if you could process a refund.
返金の手続きをしていただけるとありがたいです。
①gratefulは、感謝をしている様子を表すので、I would be grateful if you could…は、何かをしていただけたらありがたいです、というニュアンスで、控え目な態度で誰かにお願いをしたい時に使う無難なフレーズです。
②可能かどうか尋ねる
Would it be possible for / to …?
例:Would it be possible for you to send me the file again?
もう一度ファイルを送っていただくことは可能ですか?
例:Would it be possible to hold our meeting on Skype?
会議をSkypeで行うことは可能ですか?
可能かどうか分からないお願いをする時はWould it be possible for / to…?という言い回しが役立ちます。
③丁寧だけれどダイレクトなお願い
Could you please…?
例:Could you please check the status of my order?
注文の状況を確認していただけますか?
例:Could you please update me on the current situation?
今の状況を教えていただけますか?
Could you please… ?は、丁寧ですが、ややダイレクトにお願いしたい時に使います。相手にどうしてほしいかをはっきり伝えたい時に最適です。
④ダイレクトな指示
Please…
例:Please bring a copy of your ID.
IDのコピーをお持ちください。
添付ファイルを確認してほしい時にPlease find attached…というフレーズを使いましたが、簡単なお願いにPleaseをつけるのではなく、大きなお願いをPlease+命令形で表現すると、指図しているような失礼な印象を与えてしまうことがあります。不特定多数の人に対する指示を与える場合やあえてダイレクトに要求を伝えたい場合はPlease…でも良いですが、もう少し控えめにお願いをしたい時は①〜③がおすすめです。
自分がどうするか
自分がどうするかを伝えたい場合は、だいたいwill を用いた以下のようなフレーズを使います。
①また連絡する
I will contact you…
例:I will contact you again next week.
来週またご連絡します。
例:I will contact you as soon as I find out the details.
(聞かれたことなどの)詳細が分かったらすぐにご連絡します。
I will contact you…は、またこちらから連絡する場合に使えるフレーズです。
②何かを送る
I will send you…
例:I will send you the report once it is completed.
(その)レポートが完成したらお送りします。
例:I will send you a confirmation email shortly.
まもなく確認メールをお送りします。
相手に後で何かを送る場合は、I will send you…をよく使います。
4. 結びの挨拶の書き方
フォーマルなメールでは、以下のような結びの挨拶を入れるのが一般的です。
①お礼を言う場合:
Thank you for your cooperation.
ご協力ありがとうございます。
(よろしくお願いします。)
Thank you for your understanding.
ご理解ありがとうございます。
(よろしくお願いします。)
Thank you in advance for your help.
前もって、ありがとうございます。
(よろしくお願いします。)
Thank you again for your help.
重ねてお礼を申し上げます。
最も無難な結びの挨拶は、Thank youを用いたものです。Thank you.だけでも良いのですが、 Thank you in advance.(前もって、ありがとうございます。)Thank you for your understanding.(ご理解ありがとうございます。)など色々なバリエーションがあります。
②返事がほしい場合:
I look forward to hearing from you.
お返事を楽しみにしています。
(お返事お待ちしています。)
相手からの返事が必要な場合、失礼にならない言い方としてI look forward to hearing from you.があります。なるべく早く返信がほしい場合、I would appreciate it if you could reply at your earliest convenience.というような表現も使えます。Please respond as soon as possible. はかなりダイレクトな表現です。
③会う約束がある場合:
初めて会う:
I look forward to meeting you on Thursday.
木曜日にお会いするのを楽しみにしています。
会ったことがある:
I look forward to seeing you next month.
来月お会いするのを楽しみにしています。
相手と近いうちに会う約束がある場合、メールの最後に会うことを楽しみにしているという旨の文を添えることも多いです。
④質問を受け付ける場合:
If you have any questions, please do not hesitate to contact me.
何かご質問があれば、遠慮なくご連絡ください。
Please do not hesitate to contact me should you need further information.
他に必要な情報がありましたら、遠慮なくご連絡ください。
お客さんやクライアントに対してのビジネスメールなどでは、質問を受けつけるためにIf you have any questions, please do not hesitate to contact me.というようなフレーズがよく使われます。
5. 名前の書き方
フォーマルな英文メールでは、最後に自分の名前を書くまえに「敬具」のようなフレーズを添えます。
①基本
Best regards,
[Name]
Kind regards,
[Name]
よくメールのやり取りをする相手とはBest regards,やKind regards,が一般的に使用されます。ファーストネームで呼び合う仲なら自分のファーストネームを書き、会ったことのない人や親しくない人宛てのメールでは自分のフルネームを書きます。
②よりフォーマル
相手の名前を宛名に書いた場合:
Yours sincerely,
[Name]
相手の名前を宛名に書かなかった場合:
Yours faithfully,
[Name]
よりフォーマルな印象を与えたい時は、相手の名前を宛名に書いた場合はYours sincerely,を使い、相手の名前を宛名に書かなかった場合はYours faithfully,を使います。
6. 署名
ビジネスメールでは、日本語のメールと同じように、名前の下に会社名、職業名、連絡先などを載せます。
[Full Name]
[Job title]
[Company name]
T: [telephone number]
M: [mobile number]
[email]
[company website]
人によって署名のフォーマットは異なりますが、ステップ5で自分のファーストネームしか書いてない場合、署名ではフルネームを書くのが一般的です。
7. 件名
メールの件名は、なるべくシンプルに会社名、プロジェクト名、注文番号など相手にとって役立つ情報を入れて書きます。
Meeting details
会議の詳細
Request for refund, Ref: 000000
返金のリクエスト 注文番号 000000
URGENT: _________
緊急:_________
Confirmation of _________
_________確認
Reminder for report submission
レポート提出のリマインダー
Update on _________
_________についての最新情報
Cancellation of _________
_________キャンセルについて
件名を書くときのポイントは、文章を書かずにキーワードやフレーズを書くことです。緊急の連絡は、大文字でURGENT:を最初につけると相手の目に止まりやすいです。
まとめ
フォーマルな英語メールには、基本的なフォーマットがあるので、一度そのフォーマットを覚えてしまえば、短い時間で英語メールを書けるようになります。英語メールに自信のない方は、1. 宛名、2. 挨拶、3. 本題、4. 結びの挨拶、5. 名前、6. 署名、7. 件名のようなチェックリストを作って、送信前にメールに必要な箇所を確認することをおすすめします。