こんにちは。今日は私がイギリスの教育で学んだプレゼンの準備のコツをご紹介します。
イギリスでは小学校の頃からプレゼンの指導を受けます。課題を与えられる時は、ただ「〇〇についてプレゼンを準備してください」と言われるのではなく、プレゼンが評価される基準(marking scheme) を一緒に渡され、課題を理解するための資料として積極的に使うようにと教わります。プレゼンが評価される基準を知ることは、良いプレゼンの特徴を理解することにつながるからです。良いプレゼンの特徴が分かれば、プレゼンという大きな課題を細分化し、プレゼンを成功させるための行動プランを作ることができます。
プレゼンの評価基準は、教育方針や課題の種類によって多少の差がありますが、最も一般的な基準としてContent、Structure、Delivery、Questionsなどが挙げられます。今日はこれらの基準を満たすためのコツをお伝えします。
1. Content (内容)
- プレゼンのトピックに関して正しい情報を伝え、トピックの要点をカバーしているか
- プレゼンのオーディエンスが保持している知識にふさわしい内容を話しているか
まずどんなプレゼンにおいても評価されるのがContent=何を話すかです。プレゼンというと「人前で話すこと」ばかりに集中しがちですが、プレゼンの目的はあるメッセージや情報を誰かに伝えることです。プレゼンのトピックに関して十分なリサーチを行ない、内容を決めるために十分な時間を費やすことが大切です。イギリスの教育では、アイディアを発展させ、整理する方法としてmind map(マインドマップ)がよく使われます。内容の方向性が決まったら、プレゼンで正しい情報を伝えるために、複数の情報源を用いたり、情報の信ぴょう性を確認するなどして話す内容を決めます。ここで重要なのが自分の知識を全て披露しようとするのではなく、限られた時間の中でプレゼンのテーマや目的に最も相応しい内容を選ぶことです。そのためには、オーディエンスがどのような知識を既に持っているのかも考慮する必要があります。
2. Structure(構成)
- オーディエンスにとって分かりやすい構成となっているか
- 論理的な順番で情報を伝えているか
Structureは、プレゼンの流れや構成に関する評価です。聞いている人の記憶力や注意力には限度があるので、伝える情報が全く同じでも、発言の順番が違うだけで、オーディエンスにとって分かりやすくなったり、分かりにくくなったりします。聞いている人にとって理解しやすい構成にするためには、プレゼンの最初にトピックやテーマを紹介するIntroduction(導入)とプレゼンの最後に要点をまとめるConclusion(締め)を設けることが大切です。さらに、プレゼンの大部分のMain body(本論)をきちんといくつかのパーツに分けて、その流れを予め伝えておくことで混乱を防ぐことができます。
3. Delivery (デリバリー)
- 聞きやすい声の大きさやトーン、スピードで話しているか
- アイコンタクトやジェスチャー、ボディランゲージなどを用いてオーディエンスの注目を惹きつけているか
Deliveryという単語には、配達という意味がありますが、プレゼンにおいては内容の届け方や話し方を指しています。(プレゼンスキルと呼ばれることもあります。)Deliveryに対して苦手意識を抱いている方は多いと思いますが、短期間で自信をつける方法としては、プレゼンの練習を何度も行なった後にできるだけ本番と似たような環境でドレスリハーサルも行なうこと、緊張をほぐす簡単なエクササイズを行なうこと、姿勢を良くすること、ボイトレを行なうこと、他にもちょっとしたテクニックを使用することなどが挙げられます。例えば、アイコンタクトが苦手だったら、オーディエンスの全体の上に大きなMの字を描くように視線をゆっくりと動かすことで、誰かの目を直接見なくてもアイコンタクトをしているかのような印象を与えることができます。本気でDeliveryを上達させたい方は、プロのコーチに指導を受けるのがおすすめです。イギリスの会社では、新人社員だけではなく、30代、40代、50代の社員がプロのコーチにプレゼンの指導を定期的に受けていることも珍しくありません。
4. Q&A(質疑応答)
- トピックに関して十分なリサーチを行ない、豊富な知識を保持しているか
- トピックに関する知識を様々な状況や場面にも応用できるか
プレゼン後のQ&Aでは、プレゼンの最中にした発言に関する詳細を求められたり、プレゼンで話さなかったトピックやアイディアについて意見を求められたりする可能性があります。特にビジネスのプレゼンでは、このプレゼン後の質疑応答での対応がプレゼン全体の印象やプレゼンターに対する評価を大きく左右することもあるので、上手にこなすための準備が必要です。例えば、自分がプレゼンで話す内容について詳細や説明を求められても対応できるように十分なリサーチを行なっておく、プレゼンのトピックと関連している話題や問題について調べておく、自分がプレゼンで述べるアイディアや意見と反する意見への対応の仕方を考えておく、友達や知り合いにプレゼンを聞いてもらって実際に質問に答える練習をする、などが挙げられます。
まとめ
教育方針や課題の種類によって今日紹介した評価基準のそれぞれの重みが異なったり、その他にもVisual Aids(パワーポイントや図など視覚教材の使い方)やOriginality (内容やアイディアの独創性)などが別の評価基準として加わることもあります。
人前で話すのは緊張するため、プレゼン=無理と考える方は多いですが、良いプレゼンには複数の要素があるので、話すのが苦手でも、ContentやStructureを事前に頑張っておけば、当日のDeliveryの弱さをある程度はカバーすることができます。これから英語のプレゼンをする方やその指導をする方にとって、参考になれば嬉しいです。