英語に苦手意識を抱いている人は、英会話で失敗することが怖いので、英会話の機会を回避する→英語が上達しない→余計に苦手意識や恐怖が強まる、という悪循環に陥っている場合があります。
この悪循環を断ち切るためには、自分の中での英会話のハードルを下げ、とても簡単な課題から始め、徐々にハードルを上げていくことが大切です。例えば、最初は「一人で英語を話す練習を行う」ーこれなら、自分の部屋で今日からできます。
それに慣れたら、次は「会話の流れを考えて、ロールプレイングを行う」ー会話の相手の発言も考えて、質問と返答をセットで練習します。練習相手がいない場合は一人二役でも良いです。
その次は「英語のレッスンを受けて、先生と会話をする」など。もっと自信がついたら、「知り合いの英語話者と会話をする」、そして最終的には「初対面の外国の人と会話をする」などと課題のレベルを本来の目標に近づけていきます。その都度、自分に小さなご褒美を与えることで、英会話=楽しいというイメージを脳に定着させることができます。
最初から「知らない外国の人と英語で話す」などと高いハードルを越えようとする人は多いですが、段階を踏まないと不安感に耐えられなくなってしまったり、失敗してしまった時に今まで以上に自信喪失して苦手意識が増してしまう危険があります。
動物や人間の恐怖症を緩和する方法として知られる「反対条件付け」というテクニックでも、段階を踏みながら恐怖の対象を望ましい結果と結びつけます。
例えば、小さい子供など特定の対象に吠えてしまう犬は、小さい子供=怖いという反応を覚えてしまっています。これを軽減させるためには、最初は遠く離れたところから小さい子供を観察させ、吠えなかったら、犬におやつをあげ、大げさに褒めます。そして、何度かそれを繰り返して成功したら、今度はもう少し近い距離から子供を観察させるなどして、犬にとって恐怖の度合いを少しだけ強くします。これも大丈夫だったら、おやつをあげます。
このように段階を踏みながら、恐怖の対象と良い結果を結びつけることによって、犬の中では、小さい子供=おやつがもらえるという新しいパターンを覚えるので、次第に小さい子供に対する恐怖を緩和させることができます。
これと同じで、英会話が怖いと認識している人も、軽症であれば、英会話と良い結果を結びつける反対条件付けを行うことで、そこまで大きなストレスを感じないで恐怖を徐々に軽減させる効果が期待できます。
ただ、英会話で緊張してしまう理由は、単純に未知の存在である外国の人に対して、緊張感、不安、警戒心を感じてしまうから、という場合もあります。
この場合は、努力して外国の文化を学ぶことも大切です。人は未知のことには恐怖を抱いてしまい、親近感を感じるものを好む傾向があるからです。
普段の生活の中で外国の人と接する機会が少なくても、海外映画やドラマを見る、外国のYouTuberの動画を見る、オンラインで外国の先生のレッスンを受ける、などから始めれば、単純接触効果と文化の理解によって、ある程度は不安感が解消でき、英語学習のモチベーションにつながります。