アサーション(Assertion)とは、相手のことを尊重しながら自分の主張をするという自己表現法です。良好な人間関係を築く上で役立つコミュニケーションスキルの一つで、私自身もアサーションを学んだことで対人関係の悩みやストレスを大幅に減らすことができました。
円滑なコミュニケーションを取るためにはまずは自分や周りの人のコミュニケーションの特徴を知ることが大切です。今日は3つの自己表現のスタイルとそれぞれの特徴を紹介するので、自分がどのスタイルに当てはまるか、そしてその他のスタイルに当てはまる人が周りにいるかを考えてみてください。それによって、自分のコミュニケーションに必要なものが特定できたり、対人関係における悩みやストレスの原因が分かったり、人材育成に役立つヒントが見つけられたりすると思います。
自己表現の3つのスタイル
アサーションのフレームワークによると、誰かとコミュニケーションを取る際、以下の3つの自己表現のスタイルがあると言われています。
1. アサーティブ (Assertive)
自分のことも相手のことも大切にしながら伝えたいことをきちんと伝える。
(例)友達に誘われたけど寝不足で体調が悪い時:
アサーティブ→友達に事情を説明して、別の日を提案する。
このスタイルは、自分の主張と相手への尊重のバランスが取れているので、本来は理想的な自己表現のタイプです。(特定の文化・状況ではそれが許されないかもしれません。)
2. アグレッシブ (Aggressive)
自分のことを優先しすぎて相手に攻撃的になってしまう。
(例)仕事を部下に頼んだら、今日はミーティング続きであまり時間がないため、明日まで取り組めないと返答された時:
アグレッシブ→「上司の言うことを聞けないのか!」「どうしてそんなに仕事が遅いんだ!」などと部下を攻める。
アグレッシブのスタイルは、自分の主張と相手への尊重のバランスが乱れているため、様々な問題が生じます。まずは、相手が嫌な思いをします。また本人には自覚がなくても、周りの人から避けられたり、怖がられたり、嫌われたりするなど本人も多くのデメリットを受けることになります。いつもアグレッシブなコミュニケーションを取っている場合、人間関係が上手くいかないだけではなく、仕事での評判が下がる可能性もあります。
3. ノンアサーティブ (Non-assertive)
相手のことばかり尊重しすぎて自分の主張をできない。
(例)友達とご飯に行く時に「何食べる?」と聞かれた時:
ノンアサーティブ→本当はすごく食べたいものがあるのに相手に断られるかも・相手が嫌がるかもと勝手に想像して「なんでも良いよ」と答える。
このスタイルも、自分の主張と相手への尊重のバランスが乱れているため、様々な問題が生じます。ノンアサーティブなコミュニケーションを取る人は自分を犠牲にするので、アグレッシブな人にとっては都合がよく、無理な要求をされたり、嫌な思いをさせられたりしてしまいます。さらに、いつもノンアサーティブな対応をしているとネガティブな感情が募ってしまう、大切な人にも本音が言えず良好な関係を築けないなどというデメリットがあります。なので、ノンアサーティブなスタイルも、アグレッシブと同様、改善する必要があります。
次回は、アサーティブなコミュニケーションを取る上で役立つDESC法というテクニックを紹介します。