私は日本人の方々から「どのように英語を勉強するべきですか?」という相談をよく受けます。
IELTSやTOEICなどの英語の試験を受ける必要がある場合は求められている英語力の基準が既に決まっているので、それぞれの試験の対策アドバイスをしますが、そういった試験を受ける必要がない場合、上の質問に対する私の答えは人によって異なります。ある人の人生をより豊かにしてくれる英語力は、別のある人の人生をより豊かにしてくれる英語力と異なる可能性が高いからです。
時間を無駄にしない英語学習
意外と多くの英語学習者は自分の求めている英語力をあまりイメージできていません。その結果として、「英語を上達させたい」という漠然とした目標を掲げ、自分に合わない練習に取り組んだり、自分が全く使う機会のない英語のフレーズばかり学んでしまったりしています。これでは時間がもったいないです。時間を無駄にしないためには、「自分の人生にとって価値のある英語力」を明確にすることが重要です。自分が求めているものを具体的にイメージできれば、それを手にいれるために必要なリソースや練習をもっと簡単に見つけることができ、時間を有効に使えるからです。
価値のある英語力
私が言う英語力とは、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングなどの四技能のレベルのことだけではなく、英語の種類、英語を使う相手、英語を使う状況なども意味しています。例えば英語には、アメリカ英語やイギリス英語だけではなく、オーストラリア英語、カナダ英語、インド英語、サウスアフリカ英語など様々な種類があり、それぞれの背景に異なる文化や歴史があります。また同じ国の中でも地域や年齢層、性別、社会階級などによって発音や話し方が異なる場合もありますし、英語を使う状況や場面によって必要となるボキャブラリーやコミュニケーションスキルも異なります。全ての種類の英語、全ての相手や場面に対応できる英語力を身につけるのはとてもハードルの高いことです。
母国語の日本語でも文章を書くのが好きな人、読書が嫌いな人、雑談が得意な人、電話が苦手な人、など異なるタイプの人がいるように、英語でも言葉やコミュニケーションに関する様々な好き嫌いや得意不得意が出てくることは自然なことです。試験合格のためには、ある程度苦手な分野やスキルを強化することも大切ですが、英語習得の目的によっては、得意分野を集中的に伸ばすのも私はアリだと思います。自分の人生にとって価値のある英語力の基準を決めるのは、自分自身です。
優先順位をつける
自分が身につけたい英語の種類やスキル、対応できようになりたい相手や状況に優先順位をつけることで、自分の求めている英語力をより効果的に習得できるようになるはずです。英語を上達させたいけれど、その方法がいまいち分からないという方は、まずは以下の質問を参考に自分の人生にとって価値のある英語力を明確にしてみてください。
- 主にどんな状況で英語を使いたいですか?
- 主にどんな相手に対して英語を使いたいですか?
- 主にどんな内容のことを英語で表現したいですか?
- 1~3を実現するために最適な英語はどこの英語ですか?
具体的にどのような状況で英語を使いたいか今の時点では分からないという方は、自分の得意分野や好きな分野の情報収集・交換に役立つ英語を学んでみるのがおすすめです。
菅沼ケイ