今日は、確証バイアス※という思考の誤りが日本人の多くの英語学習者に与えている悪影響を指摘し、確証バイアスを回避して自信を保ちながら英語力を伸ばすための対策を提案します。(※何かの判断をする際に自分が既に抱いている仮説やアイディアを肯定する情報ばかりに目を向け、自分の仮説を否定する情報に目を向けない傾向。)
英語学習者にとって危険な確証バイアスの罠
《自分の英語の発音は悪い》、《ネイティブの人の英語は聞き取れない》などという苦手意識を元々抱いている日本人は、確証バイアスによってその考えが強化され、必要以上に自分の英語に自信を失っている可能性があります。具体的には、英会話が上手くいかなった場合に、そのエピソードから得られる情報を客観的に分析せず、《自分は英語が下手》という仮説を支持するように解釈したり、英会話が上手くいったエピソードのことは忘れたりしている状況です。その結果として、「自分の英語力は全然ダメ」という大げさな結論に至り、必要以上に自信喪失してしまいます。これではモチベーションが下がり、英語学習が続きません。楽しく英語学習を続けたい場合、ネガティブな確証バイアスの罠にひっかからないための対策が重要です。
対策
確証バイアスを回避して英語力を効果的に伸ばすために以下の対策を取ることができます:
(1)まずは自分の英語力に対してどのような考えや感情を持っているのかを客観的に把握する。
(2)スムーズな会話ができるかどうかは、自分の英語力だけではなく、他にも沢山の要因が関係していることを認識するー例えば、相手の文化、相手の英語の種類、相手の英語力、相手の声や話し方、相手の性格や自分との相性、ジェスチャーなどの非言語コミュニケーションスキル、会話の内容、会話の環境、その日の体調など。
(3)学習したことを初めて会話で使う際に上手くいくと期待しない。例え最初の数回は上手くいかなくても、異なる状況(例:違う種類の英語を話す相手)では上手くいく可能性もあるということを認識して会話に挑む。
(4)上手くいかない英会話のエピソードが続く場合、(2)の状況的要因を分析し、上手くいったエピソードと比較して自分の会話力に関する具体的な発見を導き出す。例えば、「自己紹介の英語は通じるけど、レストランで使うフレーズは通じないことが多い」、「ゆっくり話してくれるアメリカ人女性の英語は聞き取れるけど、早口のアメリカ人男性やイギリス人の若者英語は聞き取りにくい」など。
英会話に苦手意識を持っている人は、(1)〜(4)のステップに取り組むことで、必要以上に自信を失わせるネガティブな確証バイアスを回避し、自分の英語の強みや弱みをより明確に把握しながら英語力を効果的に伸ばすことができると思います。
菅沼ケイ