今日は、IELTSや英検などのライティング試験のエッセイ系の質問で高得点を取るコツをご紹介します。
ライティング試験のエッセイの目的は、読む人に自分のことを知ってもらうことでも、特別面白い文章を書くことでもありません。試験管に対して、「私には試験の採点基準を満たすための英語力があります」ということを証明することです。それ以上でもそれ以下でもありません。
試験管は採点基準に沿って試験を採点するので、なるべく分かりやすくそれらの採点基準のポイントを押さえ、試験管の仕事を楽にさせてあげることを心がければ、高得点につながります。
そのためには、まず試験の採点基準を100%理解することが重要です。暗記するぐらい採点基準を繰り返し読んで、満たすべき項目を全て理解することが高得点を取るための最初のステップです。詳細は受ける試験の公式サイトで確認していただきたいですが、ここではどんな試験でも押さえておきたい4つのポイントを簡単に説明します。
①課題を満たす内容
1つ目のポイントは、ライティング試験の課題を満たす内容を書くことです。ありがちな失敗は、質問に対する答えを書かなかったり、課題の一部分だけに集中して、他の部分に対する答えが少なかったりすることです。どんなに素晴らしい英語を使っても、その内容が試験の課題を満たしていなければ、与えられる点数がかなり限られてしまいます。
例えば、Discuss the advantages and disadvantages of…というような質問だったら、メリットとデメリットを別々の段落に分けて、それぞれの項目について自分のアイディアを書くのが一般的です。メリットだけ書いてデメリットについては最後にちょっとしか触れない、というような答え方をすると、それだけで点数が限られます。
他にも、To what extent do you agree with…?のような質問だったら、何かに対する自分の意見のポジションを聞かれているので、完全に賛成か、ある程度賛成か、どちらかというと反対か、完全に反対か、などを明確にして、その理由を回答で伝えることが大切です。
自分が受ける試験の過去門や練習問題の質問を沢山リストアップすれば、質問の種類やパターンが見つかるはずです。それぞれのパターンの質問に対してどんな答えが求められているのかをあらかじめ考えて、回答を書く練習をしておけば、試験の当日にどのような質問が出ても対応することができます。
②読みやすい流れ
2つ目のポイントは、読みやすい流れの文章を書くことです。これには主に構成とトランジションが重要です。
構成
構成は質問の種類によっても異なりますが、英語のエッセイは基本的にIntroduction(序論)、Main body(本論)、Conclusion(結論)という構成から成り立ちます。
Introductionでは、自分がエッセイの中で書くトピックを紹介し、そのトピックに関する自分の主な意見やアイディアについて、詳細を書かずに簡単に紹介します。
Main bodyは、課題に対する自分の答えの詳細を書く部分です。書く段落の数や長さは回答に求められる文字数によって変わってきますが、最も重要なことは課題の全ての部分に対する答えを明確に記し、具体的な例をあげることです。
Conclusionでは、Main bodyで書いたことの要点をまとめます。間違っても、Main bodyで書いたことと矛盾するようなことを書かないように気をつけましょう。
このような構成でエッセイを書くためには、回答を書き始める前に「プラン」を作成することが大切です。プランに3〜5分ほど時間を費やすだけで、回答の方向性が明確になり、試験の質問にきちんと答えるためのタイムマネジメントをしやすくなります。試験当日だけでなく、普段の学習の際も、プランを作る練習を行うことが大切です。
トランジション
読みやすい流れの文章を書くためには、1つの情報から別の情報にスムーズに転換するための言葉やフレーズが必要です。例えば、追加の情報を述べる時はIn addition, やFurthermore, などをよく使いますし、前に話したことに反対する情報を述べる時はHowever, やNevertheless, を使います。論理的な構成のエッセイの中でこのようなtransition words / phrasesを適切に使えば、読み手にとって文章がかなり読みやすくなります。
③ボキャブラリー
3つ目のポイントは、様々なボキャブラリーを適切に使うことです。
ボキャブラリーを増やすためには、まず自分がどのようなボキャブラリーを必要としているかを知る必要があります。
過去問や練習問題に答え、可能であればフィードバックを得る、難しい場合は自分自身でもいいので回答を分析することで、自分が苦手なトピックやボキャブラリーが乏しいトピックが分かると思います。(同じ単語ばかり何度も使っていないか、簡単な言葉ばかり使ってないか、などが注意すべきポイントです。そういった部分をマーカーなどで記し、類語辞典を活用すれば、毎回先生のフィードバックが得られなくても、ライティングの質を高めていくことができます。)
試験には様々なトピックが出るので、トピックごとにボキャブラリーを覚え、関連しているニュース記事などを読むことをおすすめします。例えば、「環境」というトピックに関する英語を覚える場合、GoogleのNewsなどで’environment’と検索すれば、環境に関連する最近のニュース記事が出てきます。分からない単語を調べれば語彙が増えますし、様々な意見に触れることによって、意見やアイディアも思い浮かびます。
綴りを覚えるのが苦手な人は、パソコンで英語の文章を書き、Wordなどのスペルチェック機能で自分の綴りのミスをチェックするのもおすすめです。
④文法
4つのポイントは、様々な文法を適切に使いこなすことです。
文法の間違いは自分では分からないことが多いので、なるべく誰かのフィードバックを得るのが理想的ですが、ボキャブラリーの上達法と同じく、自分自身でも自分の回答を分析することで、同じフレーズばかり多用していないか、など多少は気づける点があります。
例えば、意見を述べるためのフレーズだったら、I think… 以外にも、I believe… やIn my opinion…などの表現があります。エッセイだったら、他にも、It is clear that…(〜は明確である)やIt seems that…(〜のようである)などの表現を取り入れることによって、毎回毎回”I”から文章を始めるパターンから卒業できます。
最後に
今日は、ライティング試験を控えている方に向けて、エッセイ系の質問で高得点を取るための4つのポイントを紹介しました。これらを全て実施したら、試験の当日のように少し緊張感のある環境でエッセイを書く練習を行うことをおすすめします。例えば、事前にリストアップした複数の質問の中から1つをランダムに選び、タイマーをスタートして試験で与えられる時間と同じ時間で質問に答える、試験がパソコンではなく紙に書くタイプの試験であれば、自分も同じように紙にエッセイを書く練習をする、など。いつも自分が英語の学習をしている部屋とは別の部屋でエッセイを書く、といった小さな環境の変化でも自分にとって少し落ち着かないと思うので、試験当日の環境の変化に順応するための良い練習になります。